こんにちは、持田有紀子です。
ニュースで円高や円安といった為替の話題が出るたびに、FXという言葉を耳にする機会が増えています。
投資に興味はあるけれど、仕組みが難しそうで、初心者が手を出すのは怖いと感じている人も多いです。
外貨預金や株との違いもよくわからないまま、なんとなく、やり方やリスクについて調べている段階かもしれません。
ここでは、レバレッジや証拠金の計算方法といった基礎的な用語の意味から、スワップやスプレッドの仕組みまで、専門用語を極力使わずに解説していきます。
大切な資産を守るためのロスカットのルールや税金の知識についても触れていきます。
- FXで利益が出る仕組みや外貨預金との違いについて
- レバレッジや証拠金などの専門用語とリスク管理の基本
- 取引にかかるコストや最低資金などの実践的な知識
- 初心者が知っておくべき税制やデモトレードの重要性
仕組みで見るFXとは?わかりやすく解説

FXという言葉は知っていても、具体的にどのような仕組みでお金が動いているのかをイメージするのは意外と難しいものです。
ここでは、FXの基本的な構造から、株や外貨預金との違い、そして取引の根幹となるレバレッジや証拠金といった重要な概念について、一つひとつ噛み砕いて解説していきます。
FXで利益が出る仕組み
FX(Foreign Exchange Margin Trading)は、日本語で「外国為替証拠金取引」と呼ばれます。
少し難しそうな名前ですが、基本的には「ある国の通貨を別の国の通貨と交換する」取引のことです。
利益が出る仕組みは大きく分けて2つあります。
一つは「為替差益(キャピタルゲイン)」です。
これはシンプルに「安く買って高く売る」、あるいは「高く売って安く買い戻す」ことで得られる利益です。
例えば、1ドル=145円の時にドルを買い、1ドル=150円になった時に売れば、その差額が利益になります。
旅行に行く時に空港で両替をするのと似ていますが、FXでは現金を直接受け渡すのではなく、売買の差額だけをやり取りする「差金決済」という方法をとっているのが特徴です。
もう一つは「スワップポイント(インカムゲイン)」です。
これは通貨ペアとなる2国間の金利差から発生する利益です。
低金利の通貨を売って高金利の通貨を買うことで、その金利差に相当する金額を毎日受け取ることができます。
ただし、逆に高金利の通貨を売って低金利の通貨を買う場合は、支払いが発生するため、注意が必要です。
外貨預金とFXの違い
「外貨を買う」という点では、外貨預金と似ていますが、その中身には大きな違いがあります。
まず一番の違いは「コスト(手数料)」です。
外貨預金の場合、銀行での両替手数料は片道で数円かかることが一般的ですが、FXの実質的な手数料である「スプレッド」は、主要通貨であれば数銭(1円の100分の1以下)程度と、非常に低く抑えられています。
次に「資金効率」の違いがあります。
外貨預金は、例えば1万ドルを買うために、その時点のレート相当額(1ドル150円なら150万円)の全額を用意する必要があります。
一方、FXは、後述するレバレッジという仕組みを使うことで、その数分の一から数十分の一の資金で同じ金額の取引が可能です。
また、「売りから入れる」かどうかも大きな違いです。
外貨預金は基本的に「円を外貨に替える(買う)」ことからしか始められませんが、FXは「外貨を売って円を買う」取引からスタートすることもできます。
これにより、円高が進む局面でも利益を狙うことが可能です。
さらに、資産の保全方法も異なります。
FX会社には法律で「信託保全」が義務付けられており、万が一FX会社が破綻しても、預けた証拠金は信託銀行を通じて返還される仕組みになっています。
これはペイオフ(預金保護)に上限がある銀行預金とは異なる安心材料の一つです。
FXと株の大きな違い
投資対象としてよく比較される株式投資は、FXとは市場の性質が大きく異なります。
まず「取引時間」です。
日本の株式市場は平日の9時から15時(昼休みあり)までしか開いていませんが、FX市場は平日であれば原則24時間いつでも取引が可能です。
これは、仕事から帰ってきた夜の時間帯でもリアルタイムに取引ができることを意味し、会社員の方でも取り組みやすい要因となっています。
次に「投資対象の数」です。
上場企業は日本国内だけでも数千社あり、どの銘柄を選ぶかの分析に多くの時間を要します。
一方、FXの主要な通貨ペアは数十種類程度であり、米ドル、ユーロ、日本円などの主要通貨に絞れば、さらに少なくなります。
情報収集の対象を絞りやすいのはFXの特徴です。
また、市場の場所も異なります。
株式は「証券取引所」という特定の場所で売買されますが、FX(店頭取引)には物理的な取引所が存在しません。
世界中の銀行などがネットワークで結ばれた「インターバンク市場」と連動して取引が行われるため、特定の場所や時間に縛られないのです。
ショートとロングの意味
FXの解説を見ていると頻繁に出てくるカタカナ用語ですが、これは単純に「売る」か「買う」かを表しています。
- ロング(Long)
「買う」ポジションを持つこと。相場が上がると予想する場合に行います。「買いポジション」とも言います。 - ショート(Short)
「売る」ポジションを持つこと。相場が下がると予想する場合に行います。「売りポジション」とも言います。
「持っていないものをどうやって売るの?」と疑問に思うかもしれませんが、FXは証拠金を担保に通貨を借りて取引しているとイメージしてください。
ショート(売り)は、「先に高く売っておいて、後で安くなった時に買い戻して返す」という約束をする取引です。
この仕組みのおかげで、景気が悪くなり、通貨の価値が下がっている時(円高などの局面)でも、利益を出すチャンスが生まれます。
レバレッジとは何か
レバレッジ(Leverage)は「てこ」を意味する言葉で、FX最大の特徴であり、同時に最大のリスク要因でもあります。
国内のFX個人口座では、最大25倍のレバレッジをかけることが認められています。
これは、手元の資金(証拠金)の最大25倍の金額まで取引ができるということです。
例えば、10万円の資金があれば、最大で250万円分の通貨を売買できます。
この仕組みにより、少額の資金でも大きな利益を狙えるのがメリットです。
資金10万円でレバレッジを使わずに取引して、1%の利益が出たら1,000円のプラスですが、レバレッジ10倍で取引していれば、同じ1%の値動きで1万円の利益になります。
しかし、これは「損失も同様に拡大する」ことを意味します。
逆の方向に相場が動けば、あっという間に元本を割り込む損失が出る可能性があります。
初心者のうちは、この倍率を低く抑えることが何より重要です。
必要な証拠金の計算
取引を始めるために最低限預け入れなければならないお金を「必要証拠金」と呼びます。
これは以下の計算式で求めることができます。
必要証拠金 = (現在のレート × 取引数量) ÷ レバレッジ
例えば、1ドル=150円の時に、1万通貨(1万ドル)をレバレッジ25倍で取引したい場合を計算してみましょう。
必要証拠金 = (150円 × 10,000通貨) ÷ 25 = 1,500,000円 ÷ 25 = 60,000円
つまり、150万円分のドルを取引するのに、最低6万円の証拠金があればポジションを持てることになります。
ただし、これはあくまで「最低限」の金額です。
ギリギリの金額で取引を始めると、少しでもレートが逆行しただけですぐにロスカット(強制決済)されてしまうため、実際にはこの数倍の資金を口座に入れておくのが一般的です。
証拠金維持率の管理
FXで最も重要な管理指標が「証拠金維持率」です。
これは、今の口座状況がどれくらい安全か(または危険か)を示す数値です。
証拠金維持率(%)=(有効証拠金 ÷ 必要証拠金)× 100
この数値が高いほど、口座には余裕があり安全と言えます。
逆に、ポジションを持って含み損が増えていくと、有効証拠金が減り、維持率は下がっていきます。
一般的に、初心者は維持率300%以上、できれば500%以上を目安に運用することが推奨されます。
維持率が100%近くにまで下がると、非常に危険な状態です。
常にこの数字をチェックし、資金に対して無理な量のポジションを持っていないか確認する習慣をつけることが大切です。
強制的なロスカットとは
ロスカットとは、損失が一定のレベルを超えた時に、これ以上損失が拡大して資産がマイナスになるのを防ぐため、FX会社が自動的にすべてのポジションを決済するシステムのことです。
各社が定める基準(証拠金維持率50%や100%など)を下回った瞬間に発動します。
「資産を守るための安全装置」という説明がされますが、トレーダーから見れば「損失が確定し、資金の大半を失う」ことを意味します。
例えば、10万円の資金で取引していて、含み損が膨らみ、維持率が基準を下回ると、残りの資金が数万円になった時点で強制的に決済されます。
一度ロスカットされると、元の資金まで回復させるのは非常に困難になります。
ロスカットされないように、余裕を持った資金管理をすることがFXで生き残るための第一歩です。
取引できる時間帯
FX市場は、土日を除く平日のほぼ24時間動いています。
これは、世界中の主要都市で順番に市場がオープンしていく「市場のリレー」が行われているためです。
- オセアニア市場(ウェリントン・シドニー)
日本時間の早朝から動き出します。 - 東京市場
日本時間の朝9時から夕方にかけて活発になります。 - ロンドン市場
日本時間の夕方から始まり、取引量が非常に多くなります。 - ニューヨーク市場
日本時間の夜から深夜にかけてオープンし、ロンドン市場と重なる時間帯は最も取引が活発になります。
それぞれの時間帯によって値動きの特徴が異なりますが、特にロンドンとニューヨークが重なる21時〜翌2時頃(日本時間)は、相場が大きく動きやすいゴールデンタイムと言われています。
自分のライフスタイルに合わせて取引時間を選べるのがFXの利点ですが、メンテナンス時間や土日は取引できない点には注意が必要です。
FXとは?実践についてわかりやすく解説

仕組みを理解したところで、次は実際に取引を始めるために必要な知識や、初心者が直面しやすいリスクについて見ていきましょう。
ここでは「どうやって始めるか」だけでなく、「どうやって自分を守るか」に重点を置いて解説します。
初心者が陥るリスク
FXを始めたばかりの人が最も陥りやすいのは、「感情によるトレード」と「高レバレッジの乱用」です。
ビギナーズラックで最初に利益が出てしまうと、「自分には才能がある」と勘違いしてしまいがちです。
その結果、資金に見合わない大きな取引量(高レバレッジ)で勝負してしまい、一度の負けで利益をすべて吹き飛ばしてしまうケースが後を絶ちません。
また、「損をしたくない」という心理(プロスペクト理論)が働き、含み損が出ても「いつか戻るはず」と根拠なく放置してしまい、結果的にロスカットされるまで損失を拡大させてしまうのも典型的な失敗パターンです。
これらを避けるためには、取引を始める前に「ここまで下がったら損切りをする」というルールを決め、それを機械的に守る規律が必要です。
やめとけと言われる理由
ネットでFXについて調べると「やめとけ」という意見を目にすることがあります。
その主な理由は、ギャンブル的な取引をして借金を背負うリスクがあると思われているからです。
通常の取引ではロスカットシステムがあるため、預けた証拠金以上の損失が出ることはまれです。
しかし、相場が大暴落するような緊急事態(フラッシュクラッシュなど)が起きると、レートが飛び、ロスカットが間に合わずに約定することがあります。
この場合、口座残高がマイナスになり、不足分を「追証(追加証拠金)」として支払わなければならないリスク(未収金リスク)が存在します。
「やめとけ」と言われる背景には、こうしたリスク管理をせずに全財産を賭けるような無謀な取引をした人たちの失敗談があります。
逆に言えば、レバレッジを低く抑え、余剰資金の範囲内で運用する分には、過度に恐れる必要はありません。
実質コストのスプレッド
FXには「取引手数料無料」をうたう会社が多いですが、コストがゼロというわけではありません。
「スプレッド」と呼ばれる、買値(Ask)と売値(Bid)の差額が実質的な手数料となります。
取引画面を見ると、例えばドル円で「Bid: 149.900 / Ask: 149.902」のように表示されています。
この差(0.002円)がスプレッドです。
買う時は高く買い、売る時は安く売ることになるため、ポジションを持った瞬間は必ずマイナスからスタートします。
スプレッドはFX会社や通貨ペアによって異なります。
頻繁に売買を繰り返すスタイルの場合、このスプレッドの広さが利益を大きく圧迫することになるため、会社選びの際はスプレッドの狭さが重要な比較ポイントになります。
金利差のスワップとは
スワップポイントは、ポジションを保有したまま日付をまたぐ(ロールオーバーする)ことで発生します。
例えば、日本の金利が0.1%、米国の金利が5.0%だとします。
ドルを買って円を売る(ドル円のロング)ポジションを持っていると、その金利差(4.9%相当)を日割りで受け取ることができます。
これがスワップポイントの魅力で、長期保有を目的とするトレーダーには重要な収益源となります。
ただし、逆に金利の高い通貨を売って低い通貨を買う(ショート)場合は、スワップポイントを支払う必要があります。
マイナススワップは日々積み重なって損失となるため、長期的なショートポジションを持つ際は注意が必要です。
スワップポイントの金額は日々変動するため、各社のスワップカレンダーを確認することをおすすめします。
必要な最低資金の目安
「FXを始めるには大金が必要」と思っている方も多いですが、最近は少額から始められる環境が整っています。
以前は「1万通貨単位」での取引が主流で、ドル円取引には最低でも4〜5万円程度の証拠金が必要でした。
しかし現在は「1,000通貨単位」や、会社によっては「1通貨単位」で取引できるところも増えています。
1,000通貨単位であれば、数千円程度の証拠金で取引が可能です。
ただし、ギリギリの資金ではすぐにロスカットされてしまうため、余裕を持って運用することが大切です。
初心者が安全に経験を積むための目安としては、最低でも10万円程度の資金を用意し、まずは最小単位(1,000通貨など)で、レバレッジを2〜3倍程度に抑えて取引を始めることをおすすめします。
基本的なFXのやり方
FXを始める具体的な手順は以下の通りです。
- 口座開設
FX会社の公式サイトから申し込みます。現在はスマホで本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)と顔写真を撮影する「eKYC」が主流で、最短即日で開設が完了します。 - 入金
ネットバンキングなどを使い、証拠金を口座に入金します。 - 通貨ペアと注文方法の選択
取引したい通貨ペア(米ドル/円など)を選び、「成行注文(今の価格で売買)」や「指値注文(指定した価格で売買)」などの注文方法を選びます。 - 注文の発注(エントリー)
「買い」または「売り」の注文を出します。 - 決済(エグジット)
利益が出たり、損切りラインに達したりしたら、反対売買を行って損益を確定させます。
最初は操作に慣れるためにも、少額で成行注文から試してみるのが良いでしょう。
デモトレードでの練習
いきなり自分のお金を使うのが怖い場合は、「デモトレード」を活用しましょう。
多くのFX会社が、本番と同じ環境で、架空のお金を使って取引できるデモ口座を提供しています。
デモトレードでは、ツールの操作方法や注文の出し方、チャートの見方をリスクなしで学ぶことができます。
ここで「どうなったら利益が出て、どうなったら損失が出るのか」を体感しておくことは非常に有効です。
ただし、デモトレードには「自分のお金ではないので緊張感がない」というデメリットもあります。
ゲーム感覚で無謀な取引をして勝てたとしても、本番で同じ心理状態でいられるとは限りません。
操作に慣れたら、早めに少額での実戦へ移行し、リアルなプレッシャーを経験することも大切です。
確定申告と税金
FXで得た利益は「先物取引に係る雑所得」として課税対象になります。
会社員の方で、給与所得以外の所得(FXの利益から必要経費を引いた額)が年間20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。
税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)で、申告分離課税となります。
FXの税制上のメリットとして、損失が出た場合に3年間繰り越せる「繰越控除」があります。
例えば、今年100万円損をして申告しておけば、来年100万円利益が出ても相殺して税金をゼロにできる制度です。
利益が出た時だけでなく、大きな損失が出た時こそ確定申告をしておくことが、将来的な節税につながります。
※税金のルールは変更されることがあるため、詳細は国税庁のサイトを確認するか、税理士にご相談ください。
FXとは?わかりやすく総括

FXは、レバレッジやスワップポイントといった独自の仕組みを持つ、資金効率の良い金融商品です。
24時間取引が可能で、少額から始められる点は大きな魅力ですが、それゆえにリスク管理が甘くなりがちでもあります。
「FXとはわかりやすく言えば、リスクとリターンのコントロールである」と言えます。
仕組みを正しく理解し、低いレバレッジで規律ある取引を行えば、資産形成の強力なツールになります。
まずは知識を身につけ、少額から慎重に市場に参加してみてください。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的とするものではありません。取引は自己責任において行い、最終的な判断はご自身で行ってください。

